2021/09/10
自動車のスマートキーが、利かなくなってしまったので、電池をかえました。
ところが、3日後にまた電池切れ。再び電池を変えると使えるようになるのですが、また3日後に使えなくなってしまいました。この電池の減りの早さは異常です。
予備のキーがありそちらは問題なく動作するので、ひとまずはそちらを使ってました。
ディーラーにいって見てもらいましたが、「こちらで準備した新品の電池だと動作しますよ。」と。うーん、短期間に3回ほど電池交換してるから、それはわかるんだけどさ…。
「換えたばっかりの電池も、3日でなくなってしまうんです。」と症状を細かに伝えても、「こちらで準備した電池では、ちゃんと動いてますよね?!ウチは電池屋じゃないので。」とばっさり。電池切れも確認しないで、何聞いてんの?と言わんばかりに、全くとりあってくれませんでした。
だめだこりゃ。トヨタさんが電池屋じゃないことぐらい知っとるわいと、ちょっとヤな感じと思いつつ店を後にしました。世界一のトヨタさんに行ったら、電池屋じゃないと謎のアピールをされるとは…。
自分で直す方法がないものかと調べてみると、スマートキーの基盤をオーブンで焼くという方法で直ったという情報がありました。
こんな精密機器をオーブンで!冗談でしょっ!て思いましたが、どうやら、パソコンのマザーボードやグラフィックボードもこの方法で直る場合があるとか。
クラック(ひび)の入ったはんだを、溶ける温度までオーブンで加熱する「リフロー修理」というものらしいです。
このままでは使えないし、ダメ元で試してみることにしました。
分解
キーを分解したついでに、なんですぐに電池が無くなるのか調べてみました。
テスターを使い、無負荷の状態で電流を計ってみると、ボタン操作やLED点灯がないにも関わらず、1.85mA常時流れている状態でした。
3日で電池切れを起こす理由はこれか!スマートキーの電池CR1632の電池容量を調べてみると、140mAh。
一方、このスマートキーの消費電力は1.85mA×24時間×3日=133.2mAh。ほぼ3日間で空になってしまいますね。
もう一つの正常に動作する方のキーも測定してみました。こちらは0mAでした。
テスト用の基盤でリフロー確認
スマートキーをオーブンで焼く前に、電子工作で不要となった基盤でテストしてみることにしました。経験がないので、ぶっつけ本番はちょっと怖いです。何℃で何分焼くかがポイントになりそうです。
基盤の一部分にテスト用のはんだを盛って、アルミホイルで包んで、焼いてみます。オーブントースターが温度調整利くタイプだったので、試しに200℃5分でやってみました。
見事にテスト用に盛ったはんだが溶けていました。成功です。ちなみにオーブンレンジではなく、オーブントースターを選んだのは、中の様子がよく見えて、写真とるのに都合がよかったからです。オーブンレンジだと黒い網で良く見えないという単純な理由です。
オーブンで焼いてみる
電池やプラスチック部分を全て外します。スイッチ類のプラスチックは外れないのでそのままです。
アルミホイルで包みます。
テストでうまくいった設定、オーブントースターで200℃5分で焼いてみました。
結果は
スマートキーのオーブン焼きの結果は…常時電流が流れる状態は変わらず、がっかり。試しにもう一度同じ設定で焼いてみましたが、結果は変わらず。残念です。
この温度で焼いても、基盤に実装されているスイッチやLEDなどのプラスチック部分は溶けずにそのままでした。これはちょっと驚きです。
はんだが溶ける温度までに達しているのは確認したので、リフロー修理では直らない別なところに問題があるのでしょう。
組み立ててボタンを押せばちゃんと開錠施錠できました。壊れてもいいやというダメ元でしたが、ちゃんと動作しました。
あとがき
- スマートキーのオーブン焼きでは、直らなかった。
- 電池が3日で消耗するのは、基盤に常時1.85mA程度の電流が流れていたから。基盤の故障と思われる。
- スペアキーの値段は、ディーラーで3万円位、町の鍵屋さんでリビルド品(中古)で1万8千円位と、安くはなかった。
- このダメなキーは、物理キーとしては使えるし、電池を入れれば動くので電池を抜いておいて予備として保管することに。スペアキーは作らないこととした。
- オーブンでリフロー修理ができる事がわかったのは大きな収穫であった。そのほかにも、フライパンリフローやホットプレートリフローという方法もあるようなので、電子工作で試してみたい。